いいお天気

朝から渋谷で先生方と集まってブランチ。大学の女子学生のキャリア教育で何が必要かというのをざっくり話し合う会だったのだが、各自のおかれる厳しい現状も分かって、うなるほかなかった。女性で研究者というのはいかに因果なものか。研究者の理想のキャリアコースは、すべて(独身だろうが既婚だろうが子どもを持とうが一切支障にならないような)男性のコースをモデルにしたもので、女性研究者がそれに比肩しようとすると名誉男性になるほかない。RPDを取ったことがスティグマになっているというお話とか(集まりに「国母」たる紀子様がやってきて激励されたとか)、出産して仕事が滞るのに落胆されるだとか、若くて容姿がよくて可愛らしいことで研究遂行能力に疑問が呈される(!)だとか、若手男性研究者はいざとなれば(それを機会に仕事をやめた)パートナーを帯同して海外に研究に行くがその逆はほとんど起こらないので、海外に行くなら独身者ということになり結婚したらもう長期に海外へ研究には行けないとか、常に「反省」を求められ「君が今の地位にあるのは運が良かったからにすぎないのだからもっと反省して頑張らねばならない」とねちねち言われるとか、なぜもっと論文を書けないのかと詰め寄られた挙句「君は独身だから自分で掃除や炊事もしないといけないのか。まぁ僕の場合は嫁が全部やってくれてるけどね」と言われたりとか、「まぁ君もそんだけ研究してはっきりモノ言ってれば、そりゃ結婚できないね」と男性教員が言い、しかもそれを聞いていた男子学生が後で同じことを言う(!)とか。これでもほんの一部であり、ほんまに一体何やねん!のオンパレード。でもそういう環境でわれわれ女性教員は生きているわけであるし、ここまで生き残れずに去る人のほうが圧倒的に多いのが現実だ。語弊を恐れずに言うが、自分のプライドの面倒を自分でみられない「おっさん」という生き物を駆逐しないことには、この国では男女共同参画なんてどこまでいってもお飾りだ。あと、女性同士の内ゲバもどうにかすべき。若さへの恐れ、才能への恐れ、整った容姿への恐れ、すべてのものが、異質なものが集まってこその集団的活動としての「研究」と「教育」に対して、おおきな妨げになっているように感じる。

普段は言えないことをお互いにいろいろぶちまけたので、皆えらくすっきりした顔をしていた。女性研究者も連帯しないとやっていけない。

昼過ぎには品川を出て帰洛。荷物を持ちかえて大阪へ。谷町六丁目でEさんYさんと明日の本番のための謡の稽古。夕食には一緒にパスタを食べた。