2013年の総括

昨年の年末総括を見直すと、2013年の目標は「遊ぶ・休む」であった。結論から言うと、見事なほどまったく達成できていない。2013年における10の主な出来事は以下の通り。

  • フラメンコを習い始めた(2月)  以前から拍に乗る踊りというのをしてみたかったので、検討の結果、自宅からもっともお稽古場の近かったフラメンコを始めた。「初めてモノを習うというのはこういうことか」とか「意外と能と似てる/真逆」とか色々発見があるうえに、音楽も面白いし、腕をよく動かすもので肩こりもよくなり、体を動かすことで爽やかにストレス発散できる。大変に実りおおいお稽古ごとで大満足。
  • 台湾出張(3月) 旅行のつもりで企画したら出張に化けた。祖父にゆかりのある台湾というものを見てみたかったという、長年の夢であった企画なのだが、現地の大学で研究発表もさせてもらった。当地で出会った大学生と今もメールをしていたりもする。食事は美味しいし、漢字分かりやすいし、親しみやすい国であった。
  • 組合活動(4月)  今年は大学の教員組合の執行委員が当たったので、4月からかなり時間を割いて組合の活動をすることになった。時間のやりくりはしんどかったけれども、他学部の先生方とも知り合いになれたし、大学の色んな事がわかって勉強にもなった。それにしても組織率96パーセントというのは半端ない、ということを最近知った。
  • 博士号取得(5月)  3月に口頭試問、3~4月に書き直しを経て、5月の教授会で、ついに博士号を取得! 本当に長かった。2005年から通算9年。もう二度とやりたくない、けれども、確かに博士論文を書いたことできちんと研究者の雛になれたと思う。先生方、ご指導本当にありがとうございました!
  • 英国出張(6月)  学会に参加するために学期途中に1週間ロンドンへ。その学会イベントの一環としてロンドン郊外にある博物館を訪問し、聖地巡礼大英博物館ではPetrinaとも再会した。面白いし楽しいしで、本当に行って良かったのだが、この辺で疲労の蓄積がピークに達したらしく、ここから半年は体調が悪かった。それでも行って良かった。
  • 商業誌に原稿(7月)  疲労がピークに達した理由は、某『現代思想』に1ヶ月で1万字の原稿を提出したため。御蔭様で商業誌デビューしたし、前から日本語で書きたかったことを書けたので、有難いお話だった。
  • 茨城でゼミ旅行(8月)  O先生の全面的ご協力を頂き、ゼミ生を連れて茨城で見学旅行した。ゼミの3年生たちはあれで親睦を深めたようで、大変やってよかったという気分である。しかもO先生ご夫妻の息子氏とも遊ばせてもらって楽しかった。腰痛でご迷惑をおかけしたのは申し訳ない限りだった。
  • フルブライト女子会(8月)  この月からだいたい2ヶ月に1度くらい、東京で集まって会合が催されている。各分野のトップランナーとして活躍されている若手女性陣に定期的に敢えて、たいへんな刺激になっている。
  • 各種翻訳活動(8月)  何年も前からやっている翻訳・解説はいよいよ仕上げで、来年出ることになった。その他にも分担翻訳を合計4本ほど引き受けた。
  • アーカイブ計画始動(9月)  某アーカイブ計画が始動し、いろんなところと勉強会を始めた。大きな企画になることは間違いないし、うまく行けば面白いことになることは確実である。

 今年は年の初めから大変忙しく、博士論文の試問が終わったそのままに新学期に突入し、さらに新しい仕事や作業が加わり、出張なども増えて、前半6ヶ月を終えた時点で心身が限界であった。メンタルの状態には影響が少ないと思っていたら、円形脱毛症になって、髪がごっそりと抜けた。これは秋になって仕事量がマシになって、ちゃんと寝られるようになったら回復してきた。やはり数ヶ月もの間、週5日授業して週末がすべて仕事や学会でつぶれる、というのは心身への負担が大きいらしい。「9月以降はロスタイム」と初めに決めていたので、9月~12月は授業の合間に取りこぼした仕事を拾っていく感じだった。本当はこれくらいでちょうどいいのだが、仕事の量を考えると一年間全部このペースというのはやはり難しいかもしれない。

とにかく博士号をついに取得したというのが大きかった。やっと色々なくびきから自由になった。これで色々と新しい研究が始められるし、資格面で思い悩む必要もなくなる。7月には英語論文も出たし、商業誌にも書いたし、翻訳も存分に引き受けたし、来年には共訳解説本も出るし、やっと落ち着いて自分のやりたい仕事ができるようになるのかもしれないと思う。私の望みは色々なものがかなったので、わりと精神的にも落ち着いてきた。やりたいことをやってお給料を貰えるというのは有難いことである。ただ、やはり仕事上で色々と人間関係に気を配らねばならないことも多く、結局はそこで疲れをためるようだということもわかってきた。その辺をうまくやるにはまだまだ経験が要りそう。断る、距離をとるということも重要、というのは今更だが、やはり大事なことだ。

放っておくとプライベートの時間が一切なくなるので、割と積極的に色んな事に挑戦してみることにした年でもあった。今年の「初めて」は、フラメンコ、変身写真、お茶屋、絵を注文して描いてもらう、などなど。今の自分と違う自分を探したいのかもしれない。来年も積極的に初めてを探さねばと思う。あとは1ヶ月に1回以上東京出張したというのは、今までになかったことだ。東京にいる知人友人にちょくちょく会えたのは楽しかった。

来年はアーカイブ関係の調査で海外に行くだろうし、新しい研究も進めねばならない。しかし、来年の特徴は、現時点ではどんなことが起こりそうかあまり予測が出来ないということである気がする。頼まれることをうまく断るということも含めて、肩に力を入れず「堅実に」を来年の目標にしたい。皆さま来年もよろしくお願いいたします。