シアトル3日目、晴れ間と小雨あり

大変疲れていたのか、一度も目覚めずに起きた。ちょっと遅れ気味にセッションを聞きに行く。大学院生の10分フラッシュトークというやつ。あとで歴史分野でそんなのできるのかと言われたけど、なかなか悪くないと思った。そこでトムを見つけ(というかトムも私を見つけ)、セッション後にちょっと話そうということになって、一緒にお昼を食べに行った。近くのバーで、トムはハンバーガー、私はビーフサンドイッチを食べながら(トムありがとう!)、色々とキャッチアップした。トムは私の在外中にサバティカルに出て以来会っていなかったので、あれが2017年6月だったから、はるばる1年半ぶりになろうか。トムは色々あって大学を辞めて、先祖代々の土地であるワシントン州北西部の島に引っ越していた。そして来期からは2年間、我々のメインの学会の会長をするのだった。奥さんが医師で忙しいし、家のこともしたいし、本も書く予定があるので、しばらくは大学では教えないらしい。私は、先々週本が出たこと、こんど某有名教科書の翻訳をグループでするという話をしたら、とても喜んで励ましてもらった。とくに翻訳について、気を付けるべき箇所について教えてもらえたのは実り多かった。トムが言うなら間違いがない。あと、これが終わってからの研究計画についても話した。やはり日本人は英米圏のことだけでは勝負にならないし、日本語が読めて英語が読み書きできるという能力を最大限活用するのがbody of knowledgeへの貢献という点で重要なんだなあと学会に来ると再確認できる。ゆっくり1時間ランチして、近況をキャッチアップして終了。会えて話せて本当によかった。

午後はマーケットに行ってしばし買い物。土産物類をいろいろと買い出し。それから気分転換に水族館に行ってみた。タコがアクティブなのが非常によかった。あと、飼育員の人と話したが、シアトル近郊もウニ増加の問題はないわけではないが、ラッコがいるとウニを食べるのでバランスが取れるらしい。なるほど。

夕方から夜は、まずサリーの授賞式。Sメダルおめでとう、サリー。本当にすごい。本を書き、論文を書き、地元の歴史協会に貢献し、授業をバリバリ教え、学部長もバリバリとやり(つぶれそうになった学部があると引っ張り出されて関係なくてもdeanをやること数回のアドミニストレーション能力の高さ)、学会の要職を歴任して会長もやり、そして本も書き、数十人の博士課程学生を育て、力強く優しくリーダーシップがあり……久々に同期(!)のエイミーに会ったけど、彼女も「サリーのエネルギッシュさにはかなわない」というほど。かつて出産後3日で教壇に立ったというサリー。彼女はこれまでどれだけの女性研究者のロールモデルとなってきただろうか。サリーはメダルにふさわしい、といろんな先生方がおっしゃっていた。授賞式のあと、レセプションでポスターセッションを見つつフルーツなどをたらふく食べ(先日の本に関係するポスターで質問できたのはよかった)、そのあと大学オンリーの祝賀会に参加させてもらって(ホテルの35階)、スーザンにお祝いメッセージ帳に一言書かせてもらい、エイミーにアドバイスを請い(19世紀の教科書について。本当に助かった、ありがとうエイミー)、サリーに改めておめでとうを言って一緒に記念写真を撮り…大変充実した夜になった。それにしても、全くの偶然とはいえ、私がミネソタに行ったのは本当にかえすがえすもラッキーだったと思う。優秀で温かいひとたちに沢山出会って、何年もたってからも覚えてもらっていてこうして声をかけてあたたかく迎えてもらえて、研究の話ができるとは、幸運の一言につきる。サリーやスーザンにも、1度のみならず、2度も来たからね、と言ってもらったり、またミネソタで会いましょうと言ってもらったりした。みんな本当にありがとう! 私もがんばらないと。